トミカタウンに関する考察
1.特徴
1−1 歩道付きシステムでの街作りがん具である、ということ
トミカタウンがトミカタウンであることを示している一つの要素が「歩道・道路パーツを介した、システムでの街作りが展開出来る」という他のトミカワールドにない「連続性」あるいは「拡張性」にあると言える。
ここで言う連続性とは「歩道・道路を介して、一つの景色が連続的に形成される可能性がある」という意味からとられたものである。大型駐車場や大型建設現場などが主な商品層であり、見た目の楽しさやアクションの多彩さを売りとする「トミカワールド」には、その派手さ故に、華やかな印象があるものの、そこには都市形成における他の要素との関連性が見いだせない。言い換えれば、その駐車場が目立ってしまっていて、他の都市装置が見えなくなっている…と言うことである。
そこで出てくるのが「拡張性」である。トミカワールドにはその建物だけで完結する世界観が存在しているが、トミカタウンには連続性が存在するために、その建物…例えばそれはコンビニであったりサービスステーションであったり、あるいは飲食店であったりするが、一概に言えることは我々都市に暮らす人々がよく目にする設備である…だけの世界観とは別に、その建物から始まる大きな枠組みの世界がまた存在しているのである。
コンビニがそこにあるだけでもたくさんの世界が生まれる。しかしながらトミカタウンにはもっともっと大きい、言うならば「ミニチュアにおける都市形成」という要素が根底にあって、そこにある多様な価値観を持った「都市」が生まれる可能性を秘めているのである。
1−2 各企業のコマーシャルである、ということ
1987年のトミカタウン登場以来、店舗として登場した企業はどれもその業界で一流と呼ばれるところが並んでいる。セブンイレブン・ジャパン(株)は、1987年の第1期製品から現在まで15年間に渡り製品化されている。その15年間は小売業にとっての大変革期であったといえるが、顧客ニーズに応え売り上げを伸ばしたのは他でもないコンビニ業界である。今や小売業で上位を占めるのはコンビニ運営の各社であって、親元と言えるスーパーを軽く追い抜いている。トミカタウンにはそんな勝ち組企業が多く軒を連ねる、言うならばサテライトショップ街なのである。たかだかがん具であるが、そこには各社が宣伝戦略としてトミカタウンを見ている側面もあるのだ。
主な登場企業を列挙すると、コンビニ業界ではセブンイレブン・ローソン・ファミリーマート、物流業界ではフットワーク、石油元売りではエクソンモービル・新日本石油(旧日石三菱)・ジャパンエナジー、飲食業界ではすかいらーく・デニーズ・吉野家D&C等、その業界ではトップクラスといえるブランドイメージを有した企業が並んでいるのがお分かりいただけるだろう。
特にがん具に名前を表示させるということは、将来の消費層である子供たちへの「洗脳」あるいは「刷り込み」という面もあり、決して侮れない位置を占めていると言えるだろう。
2.トミカ・プラレール戦略の中でのトミカタウン
2−1 基本サイズ
トミカタウンの基本サイズは、トミーが誇るシステムがん具の雄、プラレールの直線レールの長さに関係していることが知られている。
プラレールはそれこそレゴと並ぶ、「頭を使うおもちゃ」であるが、そのシステムは実に簡単であってしかもその規格を大きく変更することなく約40年発売を続けているロングセラーである。車両面でも新幹線から通勤電車、貨車やトーマスシリーズなどのラインナップが充実し、実によく完成された姿になっている。
トミカタウンとプラレールとの関係は、トミカタウンの歩道の長さがプラレールの1/2直線レールと同一の長さであるということから言及出来る。そのためトミカタウンはプラレールのストラクチャーとしての意味合いをも持っているのである。駅の脇にコンビニを置けばそれで商店街が出来るし、上手くやれば併用軌道のある街だって可能なのである。鉄道もまた都市を形成する大きな要素である。トミカタウンとプラレールはシナジーを発揮することによって、その存在意義をより高めているのである。
2−2 がん具が都市を形作ることによって起こるメリット
しかしどんなにトミカタウンとプラレールがシナジーを発揮して都市構造を作ったとしても、それはがん具の範疇を出ていないだろうというご指摘があるだろう。たしかに並べて単に「置いてある」だけでは全く効果を発揮しない。二つの要素が絡み合って効果を発揮するのは、子供達が電車(プラレールの車両)や車(トミカ・モータートミカ)でその風景を用いて遊ぶことによってはじめて、そこにある大きな意味が動き出してゆくのである。
即ち、子供達が、プラレールやトミカタウンで作られた街を遊ぶためのツールにして初めて、街作りが出来るシステムがん具の重要性が見えてくるのである。
体育館でプラレールを広げて遊ぶイベント、「プラレールひろばinえびな」などでは子供達が自由に遊んでいる。そして想像力を発揮して大人が想像もしないような走らせ方や車両の編成をつくってくれる。そこに生まれる、子供達の「想像力」が大きな鍵を握っているのである。
都市構造の設計というかたちを借りて、子供達の考え方を十二分に育てているのが、トミカタウンやプラレールの、本当の理念なのである。